あるお客さんから、実家にタイルカーペットとパンチカーペットの工事をして欲しいという依頼がありました。
季節は冬です。工事の目的は、母親が暮らしている古い家の冷たい床が気になってのことでした。床暖房などの大きな工事はできない状況で、せめて冷たい床を何とかしてあげようと言う思いやりからの依頼でした。

床工事より毛糸の靴下

このお客さんはこれまで何度もご依頼頂いてる方で、ある程度はその人柄を知っています。
そこで、「今回は直ぐに工事するのをやめましょう。」「床の工事をするより、暖かくて履き心地の良い毛糸の靴下を贈った方が良いかも知れませんよ。」と提案しました。

理由は3つ

  • 年寄り扱いしてはいけない。
  • 人は年を重ねると変化を嫌う。
  • 人はその人の多感な頃の物を好む。

年寄り扱いしてはいけない

あくまで人によりますが、親をあまり年寄り扱いしすぎてはいけないことが多いです。老いと共にこれまで生きてきて、日々工夫をしているからです。若いときと比べ自由がきかない体を踏まえて、老いながらなおバージョンアップしているのです。ただただ、劣化しているわけではありません。

人は年を重ねると変化を嫌う

多くの人は年齢を重ねると保守的な考えになる傾向にあります。言い換えると、変化を好みません。
過去に2件、そういったことを踏まえた工事をしたことがあります。「色もデザインも(できるだけ)変えないでくれ。」と言う依頼です。
色もデザインも変わらない建材はないので、問屋で全てのカタログを調べて、良く似たものを探しました。

人はその人の多感な頃の物を好む

「人はその人の多感な頃の物を好む。」と言う説があり、そこから、保守的傾向が生まれると推察できます。
言い換えると、「現代では便利で優秀なものがあっても、その人の人生で慣れ親しんだ、今では不便で見劣りする物の方が良い。」と考える傾向にあるということです。人間とは、ややこしいですね。

すごいな!毛糸の靴下

毛糸の靴下はかなり良いです。私も若い頃から愛用しています。冬の現場は寒いんです。フローリングの床は冷たいんです。どれだけ上着を着ても足が冷たくてかなわない。そこで、おばあちゃんを思い出して毛糸の靴下をはいてみたら、あら不思議、足が格段に冷たくない。硬い床を歩き回っても、毛糸のクッションが効いて疲労が軽減しました。「すごいな!毛糸の靴下」と思いました。

毛糸の靴下ではすべるから心配

「毛糸の靴下ではすべって、転倒してしまうのが心配です。」「だから、タイルカーペットを考えました。」と返事がありました。
そこで調べたところ「滑りにくい毛糸の靴下」と言うものがありました。
それとは別に、「今はいている毛糸の靴下を滑りにくくする」というもの(ボンド状のゴム?)もありました。
かゆいところに手が届く、便利な時代です。

必要があれば工事をすれば良い

毛糸の靴下でひとまず様子を見て、必要があれば工事をすれば良いと思います。
時間を掛けることは悪いことではありません。昨今「コスパ良い、悪い」などと、あたかも正論のような風潮がありますが、それは大間違いです。無駄な時間はありません。無駄にした時間はあるかも知れませんけど。

無駄なことをする時間が必要

私が心配なのは、たとえお客さんの「思いやり」が非の打ち所がないほどの正論であっても「身勝手に見えてしまうかもしれない。」ということです。
結果的に、タイルカーペット工事をすることになるかも知れません。しかし、今は十分なタイミングではないと考えます。その前に無駄なことをする時間が必要だと考えます。

このまま、どんどん工事の話を進めてしまうと、お母様や一緒に暮らしている親族がどう受け止めるかが心配です。
今回の場合は、この場では書き切れない「その他の事情」をくんでいくと、お金をたくさん使って工事するより、靴下の方が良い可能性があります。

この記事を読んだ皆さんもその工事が必要かどうか、見方を変えてもう一度考えてみてください。

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